ハッピーエンドの定義(最終話)*

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帰宅してベッドに寝転がってはたと気がつく。 あれ、今週末って、え、明後日? 土曜日泊まる感じだよね? 今日、木曜日……。 あ、まずは親に外泊するって宣言しなきゃ。それはあとでいいや。 で、寝巻きとか準備して。 え、もしかしてあっちの準備とかもいるのか? ……BLでよく見る、ほぐす、みたいなやつ……。 使うのって、アナル、じゃん? えっと、やっぱり、準備した方がいいんだろうか。 どうしよう。 ……うーん。 立ち上がり風呂に向かいながら悩む。 途中、母親にあったから、宣言する。 「母さん、土曜日友達の家に泊まることになった」 「え?」 「土曜日、帰らないから」 「……そう、わかったわ。ご迷惑にならないようにね」 あとで、泊めていただく方の住所と名前だけ教えてね。 付け足されたセリフに同意の相槌を打ち、風呂に入る。 シャワーの音をバックに考える。 前に読んだBLで、ボディソープを潤滑剤にしてたのがあったよな。 ぬるぬると滑るボディソープを手に考える。 そっとその手を尻にやり、人差し指を差し込んでみる。 ぬぷ。 爪の半分くらいまでは違和感なく入ったけれど、そのあとは違和感がすごくて、抜いた。 ……どうしよう、無理かもしれない。 誘っておきながら。 落ち込みながら、そのまま体を洗い切り、たっぷり湯に浸かってから風呂を出る。 濡れた髪のまま容赦無くベッドに倒れ込み、目を閉じた。 ……とにかく、寝ちゃおう。 うん、それがいい。 朝起きてその決断に後悔するのは別の話。
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