ハッピーエンドの定義(最終話)*

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つぷりと指が、入り込んでくる。 怖い。 違和感が、すごい。 それとたっぷりの背徳感。 ググッとまた少し押し進められる。 気持ち悪い。 背徳感と混ぜ合わされて感じるじわりとした快感。 でも、ゾワゾワして、 怖い。 ……痛い。 さーっと何かが引いてゆく。 無理無理無理無理無理……!! 痛い、怖い。 辛い。 でも、好きなんだよな、渋谷のこと。 キモチイイ。 痛くない。 大丈夫。 「あっ…んんっ」 泣くな。 好き。 大好き。 だから。 「っふぁ、…ぁ」 優しくしてくれてるのはわかる。 でも。 痛くて辛い。 泣くな。 耐えろ。 キモチイイ。 「エロ……」 渋谷、渋谷……。 後ろにいる渋谷の顔が見たくて、見られない。 絶対、酷い顔。 ……辛い。 「いったぁぁぁぁぁぁ!!!!無理!やめて!嫌だ!やめろ!!……出てって!!!無理っごめん!!」 耐えられなくて、悲鳴をあげ泣き叫んだ。 それはもう、失望されそうな。 「え、」 渋谷のびっくりした顔で、自分の仕出かしたことを知る。 あとは激情のままに叫んだ。 完全に後先考えずに。 「出てって!!!っいいから!痛い痛い痛い、無理!!!無理だから!出てけってば!!!」 そのまま目の前にあった枕を投げつける。 渋谷が愕然とした顔で出ていくのを見て、余計に嗚咽する。 ドアに鍵をガチャりとかけて、泣き崩れる。 もうやだぁ……。 ポロリとこぼれおちた台詞は、聞こえただろうか。 自分に思い切りぶつかったその台詞に余計に涙が止まらなかった。
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