おまけ3 久しぶりのデート

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「あ、弘通?」 あぁ、この声だ。 翔の声を聞いて、心がほこっとする。 「ん」 「どう?元気にしてる?」 いや、毎日メッセージのやり取りしてるじゃん。 何を今更。 そう思うけど、やっぱり嬉しくなってしまう。 「うん、元気。翔は?」 「ピンピンしてる笑。あ、でも弘通に会いたくて死ぬ」 「死ぬなよ笑」 「……月が綺麗ですね」 「死んでもいいわ」 「死ぬなよ笑」 ここまで、やって、2人して吹き出す。 ……何だこの茶番!!! 地味に文学ネタ出してきやがって!! そうだよ、夏目漱石の有名なやつだよ、ほんとかはともかく!! まあいいや。 ひとしきり笑ったあと、翔にさっき思ったことを聞いてみる。 「ね、桃子ちゃんたちとダブルデートとか、どうかな?楽しそうじゃない?」 「え……」 ……驚いてかたまった翔の声に少し寂しくなる。 「ダメ……?」 「くっかわいい……」 「うるせえ」 また可愛げのないことを言ってしまった。 そりゃ、デートは断られるわ……。 「……かわいいよ」 「はあ、まぁそれはどうでもいいんだけど、……ダブルデート、ダメ?」 恐る恐る、もう一度聞く。 もし実現したら、かなり久しぶりのデートになる。 翔があんまりにも黙ってるから、不安になる。 「……ほんとにダメ?」
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