おまけ4 ダブルデート!!

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男三人に女の子一人。 変わった組み合わせのダブルデート。 待ち合わせ場所に着くと、上野が先に一人立っていて、どうしようか一瞬迷い、それから声をかけた。 何せほぼ話したことがない。 翔の友人で、ちょっと変わった人で、桃子ちゃんから惚気を聞くからきっといい人。 それくらい。 恋人には甘い、んだろうな。 でもそれくらいしか知らない。 あいにく交友関係は狭いのだ。 「早いね」 「そんなことない」 ねぇえ!? 会話終わったんだけど!? 先が思いやられる……。 イヤホンをつけたまま上野が僕を見ずに返事をして、それでおしまい。 ねえ!! 流石にそれはなくないか!? おーいっ! 「えっと、上野ってどうして桃子ちゃんと付き合い出したの?」 めげずに話しかけてみる。 気になるし。 桃子ちゃんからは聞いてないし。 流石にこの問いには答える気になったらしく、上野はイヤホンを外した。 「……俺がナンパした」 「はっ!?」 ナンパ!? ナンパだったの!?マジで!? それでこんなに長く続いてんの? すごくね? 「あーー、でも」 「でも?」 「桃子には、内緒な?」 この台詞にこっくりと頷いてみせる。 内緒な、と人差し指を唇に軽くつけてニッコリと笑う上野。 イケメンかよ。確かに好みじゃないが顔はいいしな。 ……この仕草、いいな、いつか翔にやってもらお。 うん。 思わず翔の「内緒」を想像してにやけてしまう。 「何にやけてんの」 「翔がやったらその仕草最高だなーと」 「俺が惚気る前に惚気てくんなし」 そう言って上野が僕を小突く。 「知らん、それで?」 しれっと返すと楽しそうに吹き出されて、これなら仲良くなれそうだなとほっとした。 「でもな、ほんとはずっと前から好きだったんだよ、でも知らんぷりしてナンパしたんだ。あいつ忘れてやがるから」 「え、そうなの?」 「そ」 え、ずっと前からっていつからだろう。 切ないような優しい目でずっと前からと笑う上野を見て、桃子ちゃんは幸せだろうなと思う。 詳しく聞こうとすると、背中にどんっという衝撃が急にしてびっくりする。
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