おまけ4 ダブルデート!!

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翔と桃子ちゃんたちを肴に小突きあっていたら、桃子ちゃんたちが僕らのことを思い出したみたいだった。 「あっ」 「……」 桃子ちゃんがあっと言ってさらに頰を紅潮させるのをチラッと見て上野がそっぽを向く。 さては確信犯だな? しかし下手くそな知らんぷりである。 「え、あ、ちょ、しょうっ」 翔の名を呼ぶときに全力で裏返った声が桃子ちゃんの動揺っぷりを伝える。 「中野さんもっ、ぇ、見て、見てたよね!?!?!?」 「お熱いねぇw」 「……」 「中野さんってばからかわないで!!ってか翔も黙らないで!頼むから!あぁぁもーーっ上野くんのばか!!」 ……どんまい。 「映画のワンシーンみたいだったねー」 「なーかーのーさーーん??」 面白がって更にからかうと恨めしげな目で見上げられる。 気がついていないだろうけど、ここからは見えるんだな、桃子ちゃんが真っ赤な顔で上目遣いで僕を見てることに嫉妬する上野が。 おあとが楽しみですねw 「あははははは」 声を上げて笑うと、いい加減にしとけという意味なのか、翔に袖を引かれた。 「弘通、そろそろ行こ」 「っぁ、そうだね」 上野に目線でテキトーに謝り、翔についていく。 今日の目的地は、遊園地だった。 例のネズミーランドではないw ジェットコースター、観覧車、メリーゴーランド、……そしてお化け屋敷。 あー楽しみが止まらない! 「どこから回る?」 すると、まだふくれっ面をしてる桃子ちゃんをなだめるのに忙しい上野がぼそっと何かを言った。 「へ?」 「……お化け屋敷の次が観覧車。その順で〆たい」 「?……わかった」 よくわからないけれど、それ以外から回ればいいらしい。 なんで、その二つが最後なんだろう……? 気になったけれど、どこから回るのか、機嫌を直した桃子ちゃんや翔と大騒ぎするので忙しくて、あっという間に上野の台詞のことは記憶の彼方に消え去っていった。因みに上野は、その大騒ぎの間、僕らを眺めているだけで会話には参戦しなかった。他にこだわりがないとみた。 桃子ちゃんを時折愛おしそうに見やっては、そっと近くに寄っていくのがなんとも言えず可愛かった。
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