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結局、わちゃわちゃしながら決めた行き先は、コーヒーカップだった。
……正直、苦手だ。
なんとなく言い出しづらくて、言えないまま乗ることになってしまう。
流石に吐くほどではないものの、気分が悪くなるのと、しばらく立てなくなるから、苦手なのだ。
「面白いから、二人はこのピンクのやつな」
上野に指定されて、目の前にあった派手なピンク色のハート柄が散りばめられたカップに二人で座る。
抵抗は、した。
でもさっさと決めなきゃならなかったから観念して座ってやったのだ。
めちゃくちゃ、恥ずかしい。
でもカップル感があって嬉しいとか思ってしまう。
この後が不安だけれど、正直満更ではない。
「弘通」
「ん?」
カシャッ
呼びかけられて辺りを見回していたのをやめて翔の方を見ると、写真を撮られた。
……絶対、間抜け面じゃん。
負けじとスマホを取り出し、翔を撮る。
連写で。
「ちょ、やめろってwしかも連写www」
やめろと手を伸ばす翔をすかさず連写する。
「ふははははは、おとなしく撮られてなさいw」
「えーーw」
このためではないけれど、容量は結構空けといたから、平気だろう。
……あとで待ち受けにしよ。へへ。
じゃれあっていると、コーヒーカップが回り出した。
「おっ、始まった」
そう言うなり、翔が容赦なくカップを回し始めた。
嘘でしょ!?やばい。
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