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って、そこまでは翔も元気がよかったんだけど、だんだん近づくにつれてしおしおしてきた。
もしかして、本当に苦手?
いろんな意味でドキドキしながら、順番を少しだけ待ってから、お化け屋敷に入ることになった。
僕と翔が先で、桃子ちゃんと上野がその次だ。
係のお姉さんにいってらっしゃいと見送られてひんやりとした空間に足を進める。
ひっと翔の体が震える。
いや、いやいやめっちゃ苦手なの?
まだ涼しいだけだよ?
そんなことを思っていると、繋いでいた手を翔がぎゅうときつく握った。
気にせず歩き進めると、扉がある。
開けてみると案の定お化けが現れる。
なかなか綺麗に作られていr
「っぎゃぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁああああああああああああああ」
ものすごい勢いで叫びながらしがみついてくる翔。
えっそんなに弱いの?
翔の驚きっぷりに驚くような呆れるような気持ちを抱いている間に翔に引きずられるように通路をすすむ。
心地よい涼しさで永遠に住みたいくらいだ。
しかも、暗いから翔とずっと手を繋いでいられるし。
呑気な僕と対照的にガクガクと震えながら必死で突き進む翔をあざ笑うかのごとく人形がいきなりけたたましく笑い始める。
この声、恐怖を呼び起こす感じですごくうまいn
「あああああああああああああああああああいやあああああああ」
「翔、怯えすぎだってばw」
思わず翔に愛おしさを覚えて、頭をポンポンとやる。
いつも、やられっぱなしだかんね。
やりたかったの。
てかそんなに怯えるかい?
イケメンってなんだっけってなるような表情の翔を宥めながらさらに通路を進む。
……それでも、こういう弱いところを見せてくれるところが愛おしくて、いつもの格好よさとのギャップがたまらないだなんて思っちゃうのは、惚れた弱みだろうか。
ま、惚れちゃったもんは惚れちゃったもんだし、いっか。
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