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観覧車ってなんでこんなに、高いんだろ笑。
いや、当たり前ではあるんでけどさ。
ゆっくり登っていくからかな、ジェットコースターよりも断然上に自分の位置がきてるはずなのに、高いなぁというぼんやりとした思いしか感じなくなる。
うーむ、面白い。
じわじわと高みに翔と僕を乗せたゴンドラがゆく。
うっ、でも翔のテンションは地についた……いやなんなら沈み込んだままなんだけど……。
なんて言えばいい?
僕は、
「う、嬉しかったよ」
それだけを思わず口にしてしまい、その後慌てて続きを話す。
「あのさ、その、幻滅とかしてない、から。なんか、その、嬉しかったんだ。翔も完璧じゃないんだなっていうかさ。その、近くに感じたっていうか……。あの、その」
ええい、ここまできたら。
言ってしまえ。
頑張れ自分。
「好きだよ、なんならもっとす、好きになった…よ」
なんとか最後まで言い切った。
途中躓いたりしたけど。
言えてよかった、なんて思っていたら、俯いていた翔がいきなりガバリと顔を上げて抱きついてきた。
その途端、激しくゴンドラが揺れた。
もはや恐怖だ。
恐怖しか感じない。
このドキドキは、絶対に揺れてるせいだ!
……多分、いいわけじゃなく本当にそうな気がする。
僕の動悸がおさまる頃に翔が照れたように笑った。
「……ごめん、また格好悪くなった」
「いいよ」
「でさ、ちゃんと聞きたいからもっかい言ってくれない?」
は?
いや、絶対聞いてたじゃん。
好きになったのアレだろ?
無理無理無理、まじまじと見られて?
しかももう一度???
無理。
いくら翔の頼みといえd
「お願い」
確信犯ないい笑顔でお願い?と小首を傾げられ、慌てる。
受けでもいけそうなイケメンがそんなことやったら破壊力抜群なんだってば。どこぞの攻め様に惚れられたらまじぶっ殺す。
……好きな人の、この笑顔にやられないわけないじゃん。
もう。
じゃあ、一回だけだかんな?
「もっと好きになったよ、翔」
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