吉と出るか凶と出るか

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トイレにこもり、ウジウジとする。 あと五分。 そしたら授業に出なくては。 ああなんで。 僕はブスに生まれたんだろう。 もし渋谷みたいなイケメンだったら僕は渋谷と両想い、になれてただろうか。 いや、多分無理だろうな。 積極性がなきゃ。 こんなことでウジウジするなんて、なんて女々しいんだろう。 こんなんじゃ好いてなんかもらえない。 だけど。 あの可愛い青山くんがライバル、なんてのは正直勝ち目が無い。 だって可愛いんだから。 見た目もだけど、中身も可愛いんだ。 話し方も彼なら可愛い。 女子の中にはぶりっ子だとか言うのもいるけれど。 というか、そもそも渋谷には彼女が居たんだ。 彼の心を掴んだ人が。 キリキリと痛むのは、心か、胃か、心臓か。 もうなんだっていいや、いっそここで死ねたらいいのに。 なんて思ったって性根が真面目なものだから、チャイムの前に支度して席についていた。 チャイムがなってから慌てて離れ、支度をする青山くんと渋谷を見ないようにしながら。
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