罪悪感

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いつもの如く渋谷はギリギリの時間にやってきた。 いつもはこっそり盗み見ているのだけど、今日は見られない。 罪悪感が、やばい。 正直、もう無理かもしれない。 予習とか見せられない。 ふっと見ると今日も渋谷の例の友人は休み。 マジでどうしたんだろ。 病気か何かだろうか。 話したことはないけれどここまでくると心配になってくる。 いやそこじゃない。 そうだよ。うん。 罪悪感以前にもう僕には話しかけてこないだろ。 だってそれなら可愛い青山くんに見せて貰えばいいだろ? 青山くんの成績は知らないけど。 あはは。なんで思い出したんだろ。 忘れてたほうがよかったのにな。 だけど思い出して期待する、なんて器用な真似は出来ないから。 ほんの少しでも期待してた自分に嫌気がさす。 そもそも渋谷はこんな根暗に話しかけてなんかこないだろうよ。 第一今日は英語の授業はないんだし。 ……お礼は、したほうがいいのかなあ。 だって、罪悪感があるとはいえ、ね。 世話に、なった、から。 話したい、とかそんなんじゃないから。 2人でどこか行きたい、とか、そんなのは違うから。 そうだけど。 でも。 お礼、しなきゃだよなあ。 ついでにお詫びも。言わないけど。 オカズにしちゃったお詫び。 話しかけても、いいよね。 昨夜のオカズにしてしまった罪悪感が半端じゃないけれど。 ……今日、ダメだったらなかったことにしよう。 「………渋谷!」 渋谷が、振り返った。 なぜか僕には、とてもゆっくりに見えた。
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