1539人が本棚に入れています
本棚に追加
そこには、赤い顔をした渋谷がまじまじとこちらを見ていた。
え。
ええ?
えええ!?
「もしかして、熱あんの?」
うつす……ほどのものでもなかったはずだけど風邪うつしたか??
「え、え?いや??なななないよ?」
「マジ?」
「マジ」
ならそれでいいんだけど。
本当に熱はないといいんだけど。
勇気があれば、純粋であれば、きっと渋谷の額を触って体温を測れたのだろう。残念ながら僕にはできやしない。
好きな相手に。
下心なく。
触るなんて。
「と、とにかくありがとな。で、礼になんか奢らせろ」
ああなんて可愛げがない。
せめて可愛く言えたなら!
そうしたら、少しは。
いいや、な訳ない。
あいつには彼女がいるんだから。
僕の心はざわめいていますが、渋谷には気づかれないように。
そう心に念じる。
「え、いいよそんなん」
ですよね!
あわよくば2人っきりで遊びに行けるとか期待した僕が悪かった!!
でももう少し。
押させて。
「いいよいいよ。僕がお礼しないと気が済まないだけだから」
最初のコメントを投稿しよう!