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って、見惚れてる場合じゃなかった。
「えっと、いただきます……?」
「あ、うん、おう、いただきます!」
カレーはちょっと冷めてしまってたけれど、頰の熱を冷ますにはいいかもしれない。
でも僕の写真なんて何に使うんだろう。
そんなぼんやりとした疑問もどこに行くか話すうちに忘れてしまった。
「はー楽しかった。最後、なんか一個行ったら帰ろ」
「いいよ」
チラリ、と渋谷が僕を見た気がする。
最初は僕が着いていく形だったけど、いまは隣にいるのがなんだか自然だった。
それがなんだか嬉しい。
「あ、そだ」
「え?」
「観覧車にしよーぜ、最後」
か、観覧車……。
いかにもデートっぽいセレクションで、今日だけで何度ドキドキしたのかわからないくらいなのに、今までの全部を上回るほどドキドキした。
渋谷から、そういうのを選んでくれたってのが嬉しくてたまらない。
「いいよ、行こう」
ふと渋谷のほうを見たら思ってたより近くにいて、ドキドキしてしまう。
イケメン、なだけだったらこうはならない。
渋谷だから、ドキドキする。
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