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「青山ー」
まただ。
渋谷が青山くんを呼ぶ声。
「なにー?」
早い返事は明るくて。
僕だけは沈んでる。
なんで、今日も、かな。
せめて今日だけは。
やめて欲しかったな。
昨日くらいからだろうか、今まで以上に、青山くんとよく話す姿が目に入る。
腐男子としては美味しいはずなんだけど、嫌でたまらない。
もやもやした霧が、ぼってりと覆いかぶさって、囁いてくる。
渋谷はお前のものじゃない、と。
わかってる。
わかってる。
わかってなきゃ。
「おう!じゃあ又話聞かせろよな」
渋谷の威勢のいい声がする。
なんの話ししてるの、なんて聞ける間柄じゃない。
声も、格好良くて好きだなとか。
自分に行ってくれてたらどんなによかったか、とか。
余計なことを考えて、もやもやする。
今日、渋谷に話しかけてもらえますように。
いつもよりも切実にそう思った。
その訳は。
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