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白い。
目を開くとそこはグレーで白かった。
薄暗い世界は一面に真っ白だった。
話声がする。
ぼんやりとしていた声は、やがてはっきりと聞こえるようになった。
耳が、慣れたのかもしれない。
「……だからごめんって」
「さすがに桃子でも無理だよ。後で謝れ」
渋谷と、モモコさんの声。
なぜモモコさんは謝るんだろう。
悪いのは、僕なのにな。
「てか、そろそろ五時半だよ?」
「様子見るか」
場合によっては俺が背負って帰るかな
渋谷がそう口にしたのと同時に、カーテンが開かれる。
思ってた通り保健室。
二度目。
でものぞき込んでくるのは二人。
「ごめん。迷惑かけた」
二人が僕が起きてるのに気づいて、話そうとするのを遮った。
「いや、ごめん。ええと。その。説明、マジでさせてくんね?」
もう、なんとなく断れない気がして、頷く。
「そっか、さんきゅ」
ほっとしたような笑顔の渋谷が夕日でまぶしい。
「あのな、俺たちのこと、カップルだと思ってたりしない?」
こくりと頷いてから、その言い方だともしかしたら違うのかもしれないと思った。
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