桃の香りと翔ぶ鳥

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「で、告白とかすんの?」 なんで傷を抉るようなことを自分で言っちゃうんだろう。 「あー、バレンタインに、かこつけようかと思ってる」 「……そっか」 バレンタインまでは、夢を見られるのか。 そしたら、おしまいだけど。 うまくいくと良いな、なんて思えなかった。 やな奴だな、と思う。 「あ、でさ。やり直さない?誕生日。こないだ、桃子がダメにしちゃっただろ。詫びにまたやろうって」 「そうそう。中野さんがよかったら、ですけど……。よかったら、やり直しませんか?」 人が良すぎないか、二人とも。 「な、やろうぜ。桃子が金は出すしさ、ね。やろ?」 「ほんと、この間はごめんなさい!!お詫びと言ってはアレですが……」 黙ってると、二人が畳み掛けてきた。 「……そこまでいうのなら」 「よっしゃ」 「ありがとうございます!」 「いやお礼言うのはこっちだし……」 とにかく、またあの店に行くことになった。 今度は最初から三人で。 嬉しそうな顔の渋谷を、なんとなく直視する気分じゃないまま、三人で道を歩く。 バレンタインまで。 それまでは、少しは一緒に過ごせるだろうか。 バレンタインまであと3ヶ月。
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