師走

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「中野?」 は。 しまった。またやってしまった。 心配そうな顔の渋谷がひょこ、と顔を覗き込んでくる。 「なんでもない」 「マジ?ならいいや。ね、予習見せてよ」 「ほれ」 あの二度目の誕生日祝い以来、僕は、前よりも考え事をするようになった。 カリカリと必死にアルファベットを写す渋谷に、前々から気になっていたことを聞くことにした。 「なあ。あいつは今どうしてんの?」 「あいつ?」 「前に、渋谷に予習を見せてた奴」 「ああ、上野?あいつはね、今桃子の彼氏」 はあっ!? 桃子ちゃんの彼氏? 聞いてねー!! じゃなくて! 「え、元気なの?」
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