師走

11/11
前へ
/283ページ
次へ
朝である。 うん。ぐっすり眠れた。 いやドキドキしすぎて予定より寝てないけど。 寝ぐせはなし。 ありがたやーと鏡の前で軽く拝んでから登校。 恋って心臓に悪いよな、とつくづく思いながら授業を受ける。 なんせここまでドキドキするんだから、きっと寿命は通算三年くらいは縮んだんじゃないかしら。 しょうもないことを考えているうちに授業は終わり、昼休み。 渋谷がノートの予習を写しに来た。 今がチャンス!! 「ねえ渋谷。何か欲しいものってある?」 つむじのクルクルを眺めながら聞く。 どこからどこまでも好き、とかこっぱずかしいことをちらっと考える。 「え」 渋谷が顔をあげて、首をかしげた。 「こういうのは聞かない方が面白くない?」 「確かに」 それもそうだ、と思う。 貢ぎあい、みたいになるよなーとは思う。 合理的ではあるけれど。 「それに」 それに? 「何あげようか考えてプレゼントしてくれたら、その考える時間もくれたってことだし、そっちのがうれしい、かな」 真っ赤な顔で照れたように言う渋谷がかわいく思えて、お花畑が悲鳴を上げた。 キャパオーバー。 「……!!わかった、かんがえる......」 こっちまでつられて顔が熱くなりそうだ。 ほんと、心臓に悪い。
/283ページ

最初のコメントを投稿しよう!

1539人が本棚に入れています
本棚に追加