渋谷翔の欲しいもの研究

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「えーキョウコちゃんー?www無いわw」 「いや案外ってのもー」 渋谷は? まだなんの、反応もしてないよな? どう思ってんの? 「なあどうなん?」 えー、と困った顔で渋谷が笑う。 結局ごまかせなかったみたいで、口を開いた。 「キョウコちゃんでは無いけど、いるよ。でも内緒な」 キョウコちゃん、という人ではないというセリフに、どこか安堵した。 では誰なんだろう。 どんな人なんだろう。 叶わないのを知っているけど、やっぱり期待してしまう。 まだまだ彼らの会話は続く。 「えーじゃあどんな子?かわいい??」 「お前懲りねえなw」 「それな」 「だって気になるしw」 渋谷をちらっと見ると、困ったような顔をして笑っていた。 そしてなぜか、バチリと目があった。 え? 視線に気づかれた? 渋谷はまた仲間のほうに顔を戻して口を開いた。 気のせいだろうか、ニヤッとした顔を一瞬していた気がする。 「うんかわいいw素直じゃないのかと思ったら急に素直になったりしてマジかわいい」 「「マ?」」 「やばw」 「誰だしww」 一気に場が沸いた。 僕は、僕は。 動揺した。 自分が思ってたより、渋谷が誰かを褒めることに対して覚悟ができていなかった。 いろんな意味で、ショックを受けた。
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