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僕がショックを受けている間に、その日の授業はみんな終わった。
欲しいもの研究は結局進んでいない。
明日。
明日も調査を続行する。
夜、布団に顔をうずめてうめいた。
思いつかないし、聞かなきゃよかったかもしれないことも聞いてしまった。
知らなかったら、誰だかわからない女の子への誉め言葉を聞かなかったら、僕は渋谷に期待できてただろうか。
自信がない、以前にその資格だって持ち合わせていないのだ、僕は。
好きになってもらう資格や自信なんて、ない。
かわいい?
そんなもん青山君でもあるまいしブスにそんなこと思うわけがないだろう。
かわいくなりたい、と人生で初めて思った。
男なら本来一生願うことのないこと。
可愛かったら。
女の子だったら。
この恋は報われていたんだろうか。
渋谷のことなんか全然知らない。
欲しいものなんか見当もつかない。
そもそも僕からもらってうれしいんだろうか。
渋谷から言い出したことだったとしても。
信じられないなあ。
ねえ渋谷、もし僕が女の子で可愛かったら、好きになってくれる?
そんなバカなことを聞きそうになる。
明日、渋谷の欲しいものがわかりますように。
曇ってて寒そうな空に願った。
月は出ているかもしれないけれど、分厚い雲の向こうみたいだった。
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