良いものばかりの村

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 その湖の丁度真ん中に満月の光が映った時、その光を通り道にして、湖に住む精霊が姿を現す。  その精霊は、湖に投げ入れられたものを二つに分ける。  良いものと、悪いものに。 「それでこの村は平和なんだ」と村人は自慢げにそう言った。 「村には良いものしか残らないからね」と。  俺は尋ねた。 「悪いものはどこに行ったのですか?」と。  村人は答えてくれた。 「さてなぁ。悪いものはどこかに行ってしまうんだよ。ここではない、どこかにね」と。
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