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その翌日、事件は起こった。放課後、桃子が『サロン・ド・ピーチ』にいる間に、剣道部の部室が『没っ収』に襲われ、「ウノ」が取り上げられてしまったのだ。
聖域が犯され、桃子の我慢は終に切れてしまった。
嵐に逢ったような剣道部室兼道場を見て、桃子はまなじりを結すると、白い道着袴に着替えて、手に竹刀を握った。
「さて、今から鬼が島に鬼退治に行くよ。付いて来てくれる人はいる?」
道場を見渡しながら声を掛けると、先ず一年生の武田が名乗りを上げた。
「僕、行きます!」
「俺も行ってやるよ」
続いて、三年生の大澄が声を上げた。
「じゃあしょうがない、俺もお供するよ」
同級生の筧も立ち上がった。彼ら三人は、「桃っちファンクラブ」を自称する者達であった。
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