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「さーこ、おーいさーこ。どうかしたのかー」
ナツがポテトを笹食いしながら視界に入ってくる。そこで初めて、自分があらぬ方向を向いていることに気づいた。相当ぼーっとしていたらしい。
「いや、大丈夫」
「何か遠い目してたけど」
「あー……ちょっと考え事しててね」
言いながらスマホを取り出し、ブラウザを開く。完全に崩壊した元ハンバーガーは、あとで食べることにした。
「なになにー? 何考えてたの?」
「内緒」
検索して出てきた目当てのページが開くのを待つ間に、前に流れてきていた髪を後ろへやる。私は高校に入ってから一度も髪を切っていないが、ナツは逆にショートにした。どちらも似合うナツは、やはり素材は良い。素材は。
「さっきの話だけどさ」
「パンダ?」
「うん、それ」
某インターネット百科事典によれば、パンダは基本的に群れを作らず、単独で生活するらしい。やっぱりそうか。ページを閉じてスマホをしまい、ポテトをつまみながら言う。
「ナツはパンダになっちゃダメだよ」
「え、何で?」
そんなの、決まってるじゃん。
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