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「くらら……」
「要ちゃんの中、もう私はいないよ。」
「いるよ!こうして目の前にも、いるじゃないか。」
「一人になりたいの!もう、何かも捨てて、一人になりたいの!」
「落ち着け、くらら!」
夫が私を抱き寄せる。
「放して!」
「いいから落ち着け。」
「落ち着いているわよ!」
もう何もかもがダメ。
私は泣きながら立ち上がり、寝室へと走って行った。
夫は、このままでいようとしている。
私の中では、もう彼女の事を知ってしまったって言うのに。
「うわあああ!」
ベッドに顔を埋めて、声に限りに泣いた。
「くらら、くらら。」
寝室のドアの向こうに夫がいる。
「開けるよ。」
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