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すると日奈人君は、私を後ろから抱きしめてくれた。
「もしかして、旦那さんの事?」
私は日奈人君の腕を、そっと掴んだ。
「俺は、くららさんを裏切るような事はしないよ。」
「日奈人君……」
「ずっとずっと、くららさんだけを見ている。」
そう言うと、日奈人君は私を押し倒した。
その見下ろす瞳は、私だけを見つめていて、それに支配されているような気がした。
「くららさん……」
首に吸い付いてくる日奈人君を、私は抱きしめた。
この温もりだけは、私を裏切らない。
私なしでは、生きていけない。
ああ、私は愛されたい一方で、そんな愛を欲しがっていたのかもしれない。
目を瞑ると、自然に涙が零れ落ちた。
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