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夫は立ち上がると、私の目の前に来た。
「そんなに俺の事、嫌い?」
「嫌いじゃない!」
その言葉に、自分でも驚いた。
私は夫に裏切られても、嫌いにはなれないのだ。
夫は、仕事でもエリートで、女性にもモテていた。
そんな夫を陰で見つめるしかなかった私は、内気な女だった。
声を掛けられて、付き合った時には、心がふわふわ浮いていて、あっという間に結婚の話になっていた。
「ごめんなさい。今日の事は、わたしが悪かったわ。」
夫は私に背中を向けた。
「ねえ、今からでも行かない?開いてるお店、探して。」
「今からじゃあ、飲めないよ。」
夫が不機嫌な気持ちを、隠している事が伝わって来る。
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