第6章 本気で好き

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夫は立ち上がると、私の目の前に来た。 「そんなに俺の事、嫌い?」 「嫌いじゃない!」 その言葉に、自分でも驚いた。 私は夫に裏切られても、嫌いにはなれないのだ。 夫は、仕事でもエリートで、女性にもモテていた。 そんな夫を陰で見つめるしかなかった私は、内気な女だった。 声を掛けられて、付き合った時には、心がふわふわ浮いていて、あっという間に結婚の話になっていた。 「ごめんなさい。今日の事は、わたしが悪かったわ。」 夫は私に背中を向けた。 「ねえ、今からでも行かない?開いてるお店、探して。」 「今からじゃあ、飲めないよ。」 夫が不機嫌な気持ちを、隠している事が伝わって来る。
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