2023年 特別番外編『Happy Halloween 月影寺』②

1/1
前へ
/1578ページ
次へ

2023年 特別番外編『Happy Halloween 月影寺』②

「いっくん!」 「めーくーん」 3ac7817c-12ea-44bd-a304-d931b01fe2ba  僕たちは潤といっくんと北鎌倉の駅で落ち合った。  いっくんは新幹線でぐっすり眠ったとのことで元気一杯だ。  潤と僕はアイコンタクトで頷き合った。  僕たちこんなに気軽に会えるようになったんだね。  それが嬉しくて笑みが零れる。  潤も白い歯を見せて笑っていた。 「さぁ、エンジェルズ。車の中で変身しないとな」 「あい!」 「いっくん、同じお洋服だよ。うれしいね」 「いっくん、まだ、ゆめをみていましゅか」 「ううん、これは夢じゃないよ」 「しょうなの? しゅごいでちゅね」  ふたりはポイポイ着ていた服を脱ぎ捨て、着替えだした。  そして、あっという間にホリーポッターのコスプレ姿になった。 「か、かわいい!」    流さんじゃないけど、僕まで鼻血出しそうだ! 「えへへ、いっくん、めーくんとそっくり」 「すごい本格的だよ。すごいよ! 憲吾おじさーん、ありがとう」 「おじいちゃーん、ありがとう」  いっくんと芽生くんは月に向かって叫んでいた。  きっと届くよ。  皆も同じ月を見ているから。 6a6518cd-fa38-4ba9-9b34-d3424bab7177 「さぁ着いたぞ」 「わぁい。すいしゃーん」 「やったー」  あれ? 門が閉まっている。  困ったな。  そうか、もうこんな時間だからか。  もう夜の8時すぎだ。 「あの、僕が洋くんに電話をして、開けてもらいますよ」 「待って、お兄ちゃん、ボクたちが魔法であけてあげるよ」 「ええ?」  もう二人は物語の世界の主人公なのだ。 『ひらけーごま』 「ひらけぇ? ごまちゃん」  二人が門に向かって箒を振りかざすと、月光が差し込んできて、山門がギィィーと開いた。 「え? うそ!」 「兄さん、こわいな」 「そうか、子供の魔法なんだね。さぁトリックオアトリートの時間だよ」 「やったー」  いっくんと芽生くんは二人で手を繋いで声高らかに叫んだ。  まぁ、エンジェルズの声が聞こえたら、すぐに分かるよね。  僕たちがやってきたと。 「もち、もーち、おかちをくだちゃーい。くれないといたずらしちゃいましゅよ。きょうははろりーんでしゅよー」 「トリックオアトリート! お菓子をください」  洋くんはどこかな?  翠さんはどこかな?  僕と宗吾さんと潤とで、必死に辺りを見渡した。  すると、そこにガサッと竹藪が揺れた。  「わぁ!」   思わず宗吾さんに飛びつくと、そこには!!!  続く🎵
/1578ページ

最初のコメントを投稿しよう!

4247人が本棚に入れています
本棚に追加