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2023年 特別番外編『Happy Halloween 月影寺』②
「いっくん!」
「めーくーん」
僕たちは潤といっくんと北鎌倉の駅で落ち合った。
いっくんは新幹線でぐっすり眠ったとのことで元気一杯だ。
潤と僕はアイコンタクトで頷き合った。
僕たちこんなに気軽に会えるようになったんだね。
それが嬉しくて笑みが零れる。
潤も白い歯を見せて笑っていた。
「さぁ、エンジェルズ。車の中で変身しないとな」
「あい!」
「いっくん、同じお洋服だよ。うれしいね」
「いっくん、まだ、ゆめをみていましゅか」
「ううん、これは夢じゃないよ」
「しょうなの? しゅごいでちゅね」
ふたりはポイポイ着ていた服を脱ぎ捨て、着替えだした。
そして、あっという間にホリーポッターのコスプレ姿になった。
「か、かわいい!」
流さんじゃないけど、僕まで鼻血出しそうだ!
「えへへ、いっくん、めーくんとそっくり」
「すごい本格的だよ。すごいよ! 憲吾おじさーん、ありがとう」
「おじいちゃーん、ありがとう」
いっくんと芽生くんは月に向かって叫んでいた。
きっと届くよ。
皆も同じ月を見ているから。
「さぁ着いたぞ」
「わぁい。すいしゃーん」
「やったー」
あれ? 門が閉まっている。
困ったな。
そうか、もうこんな時間だからか。
もう夜の8時すぎだ。
「あの、僕が洋くんに電話をして、開けてもらいますよ」
「待って、お兄ちゃん、ボクたちが魔法であけてあげるよ」
「ええ?」
もう二人は物語の世界の主人公なのだ。
『ひらけーごま』
「ひらけぇ? ごまちゃん」
二人が門に向かって箒を振りかざすと、月光が差し込んできて、山門がギィィーと開いた。
「え? うそ!」
「兄さん、こわいな」
「そうか、子供の魔法なんだね。さぁトリックオアトリートの時間だよ」
「やったー」
いっくんと芽生くんは二人で手を繋いで声高らかに叫んだ。
まぁ、エンジェルズの声が聞こえたら、すぐに分かるよね。
僕たちがやってきたと。
「もち、もーち、おかちをくだちゃーい。くれないといたずらしちゃいましゅよ。きょうははろりーんでしゅよー」
「トリックオアトリート! お菓子をください」
洋くんはどこかな?
翠さんはどこかな?
僕と宗吾さんと潤とで、必死に辺りを見渡した。
すると、そこにガサッと竹藪が揺れた。
「わぁ!」
思わず宗吾さんに飛びつくと、そこには!!!
続く🎵
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