2023年 特別番外編『Happy Halloween 月影寺』③

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2023年 特別番外編『Happy Halloween 月影寺』③

「もう絶体絶命だ!」  こんなふざけた姿で外にいるのを、見られてしまう。  エンジェルズだけならともかく、宗吾さんに瑞樹くんに潤くんにまで!  流石の洋くんも親友に見られるのは想定外らしく、真っ青になっていた。  茂みにしゃがんで、洋くんと抱き合ってブルブル震えていると、一筋の希望の光が見えた。 「あれあれ? そこにおられるのはご住職さまですか」 「こ、小森くん」 「ノーノー」 「は?」 「今の僕はあんこの妖精ですよーだ」 34030528-4cb8-4256-b02a-c4c2b5141d7c 「あ……あんこの妖精さん、助けてくれ」 「はい、もちろんです。困った時のあんこちゃんですよぅ」  ひぇ、あんこを食べている場合では!  ところが手渡されたのはあんこではなく、あんこTシャツだった。 「これをどうぞ」 「あ、ありがとう」  丈が長いTシャツだったので、いや、それでも変な姿には変わりないが、パンツ一丁よりはマシだ。 「えっと、まだお困りですか」 「ズボン、ズボンが欲しい」 「あー それは持っていません。では僕が引き止めている間に避難を」 「分かった!」  小森くんって案外頼もしいんだな。  流石僕の愛弟子だ。  なんて関心している場合ではないのか。 「翠さん、洋くん、こっちです」  傍にいた菅野くんが誘導してくれる。  僕たちは九死に一生を得たようだ。  大恥を掻くところだった。 ****  茂みから現れたのは…… 「ひぇ! あんこ妖精!」 「あー こもりんくんだ」 「小森くん、こんばんは」 「お菓子をもらいにきてくれたのですか」 「あい! ええっと……おかちをくだちゃい。くれないといたずらしちゃうよ」 「トリックオアトリート」  小森くんは嬉しそうに大きな風呂敷から何かを取り出した。 「よかったです。送ろうかと思ったのですが、取りに来て下さるなんて」  渡されたのは……  c1bf3dcd-4e41-4731-8fb4-daf79432d2af 「さぁさぁ、宗吾さんも瑞樹くんも潤くんもどうぞ。安心安全なあずきTシャツですよ。あんこは正義ですよぅ」 ****  その後は、月影寺の客間でみんなで盛り上がった。  いやはや急展開だったが、楽しい一時だ。  それにしても流のやつ、嘘ばっかり。  翠さんには瑞樹の100倍エロい衣装を作っただなんて……みんなあんこTシャツ姿じゃないか。   「流、今日は仮装しなかったのか。翠さんのエロいのはどこいった?」 「今日は封印されてしまった。ううう、ホントはあの姿のまま宴会するはずだったのに」 「なんだ、それ? 見せてくれよ」 「いやだね。翠の裸は見せれん」 「裸! お、おい、写真があるんだろう?」 「しかたねーな、これだ!  ぶほっ!  なんだこれは、ほぼ裸じゃねーか!  瑞樹の衣装、ちと控えめ過ぎたか。  俺と二人の時限定で、もっとエロいの着させてもよかったのでは? 「宗吾、せっかく来てくれたんだから、土産をやるよ」 「お、おう!」  ううううううぉー!  7958cd60-0521-4373-8a42-f8f16059d305 「キラキラビキニセットだ。瑞樹くんに似合うだろう。翠用に作ったからちょっとウェストが緩いかもな。ほれ、ティッシュとセットで持ってろ」 「ぶほー」  ヤバい、脳内でこれを着た瑞樹が笑ってる。 80941b65-8b51-44a9-9f4a-903d7efbf2d9 三人でお尻ぷりぷりダンスか! 1b3f0361-59d2-4249-b672-2aa3466dff88  夢に浸っていると、悲鳴が聞こえた。 「わぁぁぁー」 ****  あれれ、すいしゃんのおちりになにかくっついているよ。  くろくて……ながい……ひも?  ううん、きになるなぁ。  そっとそっと、ちかよってみると、ねこちゃんのしっぽでちた。  たいへんたいへん。  すいしゃんがねこのおばけにたべられちゃうよ。  そうだ!    いっくんきょうはまほうつかいだった。 「すいしゃんのしっぽ、ぬけろぉぉ」  おもいっきりひっぱると、ストンとズボンがおちちゃった。  あれ? また? 「あ、わああああー」  すいしゃん、くろねこさんみたいにふさふさしていたよ。  えっと、どこがってないちょだよ。 ****  なんだ? 母屋から悲鳴が!  こんな格好で帰ったら怒られると思っていたが、オレは慌てて駆けつけた。  母屋の襖を開くとそこは、すごい光景だった。 「と、父さん? 何してんの?」  またしても流さんに抱えられて父さんが出てきた。 「そういう薙こそ、その格好は?」 cec1c3b9-1e30-4c95-a580-fe523bfc6e0f 「あ、ハロウィンのコスプレ!」  開き直って笑うと、流さんに笑われた。 「薙は大物だな」 「そっかな? 着替えるの面倒で走って帰ってきた」 「夜道はをつけろよ」 「うん! ごめん」 「いいよ、それより翠が卒倒したから介抱してくるよ」 「頼むよ!」  それにしてもここは、賑やかな寺になったな。  エンジェルズもいるし、居心地がいい場所になった。 「エンジェルズ来たのか」 「おやぶん、あそぼー」 「おぅ!」 ****    おしまい!  投票の結果を踏まえて上位のみと思ったのですが、結局オールキャスト書いてしまいました。皆様からのコメントがとても刺激的で糧になりましたよ。ありがとうございます。  1日かけてのハロウィンのリレーにお付き合い下さりありがとうございます。今日だけは多少の誤字脱字はご容赦下さい。もう修正する気力が……😅 お祭り話ということで脳内変換をぜひお願いします(^0^;) 幸せな存在①1,550文字 ランドマーク 1,433文字 まるでおとぎ話 2,923文字 今も初恋、この先も初恋 1,786文字 幸せな存在②2,798文字 重なる月①1,571文字②917文字③1,846文字 なんとなんと! 合計14,824文字をすべて即興で書きました!! 楽しんでいただけたら幸いです。 ハロウィンらしいお話を、涙あり笑い多めで沢山書けて楽しかったです。 応援ペコメ入れて下さってありがとうございます。 お陰で最後までがんばれました。 とっても嬉しかったです。 明日ゆっくりお返しさせて下さい。 流石に目がしょぼしょぼなので、明日の創作はエッセイ以外お休みさせていただきます。 まるメイド社さま、協賛ありがとうございます! 最後に、ぬいの集合写真です。 パシャッ―― 25f4f9bf-a781-4ce7-8100-278340c0aeca 今回は攻め様は愛でる係ということで……! ではまた。
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