『蜜月旅行 99』終わりは始まり

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『蜜月旅行 99』終わりは始まり

 反らされた無防備な喉仏に口づけする。開かれた胸元に手を這わしては、小さな突起をぐりぐりと愛撫する。そして奥の窄まりにも手を這わす。 「あっ……やっ……っ……」  反射的に閉じそうになる脚を割り、指をグリっと挿入していく。 「ん……ふっ……」 「流……流っ」 「なんだ? 翠」  翠を見つめると、頬を紅潮させ、首をふるふると苦し気に振っていた。 「熱い……躰が熱いよ」  翠のものは限界まで勃ちあがり、透明の滴を先端から溢れさせていた。 「あぁそうだな。今、楽にしてやるから」  なだめるように綺麗な額に口づけし、翠の屹立を優しく包み込むように握ってやった。同時に指の挿入を深め、ぐりぐりと中を探る。 「あっ……ん……あぁっ!」  翠の感じるスポットを見つけ集中的にそこを攻めると、翠が啼いた。薄暗いホテルの客室で、俺の腕の下で跳ねる翠の躰を見ているだけで射精しそうになる。堪えるのが辛いほどだ。  激情にまかせて翠を抱きたくなるが、それでは駄目だ。過去に翠を襲ったあの男と変わりない。だからこそ優しく怖くならないように抱きたいと願っていたのに、躰は翠に煽られ暴走する一方だ。 「流……ふっ……あっ」  吐息交じりの声に背中を押されるように、俺は増やした指を抜き、一気に自身を埋めていく。自分の躰が更に暴走していくのを感じていた。背中にまわっていたはずの翠の腕が力を失い、シーツをくしゃくしゃに掴む。 「……やっ……あっ…」  溶けそうな甘い声が、俺の動きを加速させてしまう。衝撃を受け止める翠の躰が、小刻みに震える。  翠の中は、柔らかく熱かった。  俺を包み込む翠の内側は、温もりで溢れていた。  翠の奥を激しく突きながら、翠の屹立を優しく扱く。  二重の強弱をつけた攻めを、翠は瞼を閉じて受け入れていた。目元は赤く頬は紅潮し、熱く甘い息を吐きながら、俺の愛撫に深く感じてくれていた。  艶めかしい。  こんなに艶めかしい姿を見せるのか。  こんな姿を見ていいのは俺だけだ。  もう俺にしか見せるな。  優しく抱きたいのに、どんどん獰猛になっていく自分を押さえたいのに、押さえきれない。翠を激しく上下に揺さぶり、何度も奥深くまで突いてしまう。 「流……もう、やっ……」  細切れな翠の啼き声。  翠のものが果ててもまだ、追い込むように揺さぶってしまう。  翠の全てを俺にくれ。  ずっと待ったんだ。  いいだろう?  もう一度だ。もっと、もっとだ!  そんな思いで未だに萎えないものを抜くこともできず、でも翠に負担をかけていることが悲しく、どうしたらいいのか分からなく、まるで道に迷った子供みたいに途方に暮れていると、翠の手が再び俺の背中にまわって来た。 「好きだ。僕は流が好きだよ。いいよ……もっと、もっとして」  眩暈がするような言葉が届けられる。  こうやって繋がれる日を、俺は二十年以上も待っていた。  旅の終わりを名残り惜しむように、翠の意識が飛び立つまで、俺は揺さぶり続けた。 「翠……愛していた。ずっと昔から、そして今もこれからも愛している!」  愛の言葉を降らせば、翠は深い海のように、どこまでも俺を受け入れてくれた。 あとがき (不要な方はスルーしてください) **** 志生帆海です。 いつも読んでくださってありがとうございます。 とうとう蜜月旅行もラスト1話になりました。 今日の更新分で、流と翠が本当に深く繋がることがようやく出来たような気がします。『忍ぶれど…』時代から、実に20年以上の月日が経っていましたね。あちらと合わせて読んでいただけると、またお話が深まるかもしれません。 いつも創作の応援をありがとうございます。 スターもペコメもスタンプも全部創作の糧です! お陰様で蜜月旅行だけで、100話も書けそうです。
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