三日月に誓う

9/14
前へ
/14ページ
次へ
「うわ! なんか猫いっぱいいるぞ?! そこらの野良じゃねーな……。あの猫捕まえたら高く売れんじゃね!?」 大学生くらいの五〜六人のグループが、近づいてくる。 まずい! そう思った時には、点心と爛漫は美鐘さんを守るように立つと、全身の毛を逆立て、牙を剥き出しにして威嚇し始めた。 「うーわ、こえー顔」 「棒かなんかねーの?」 「さすがに噛まれたらヤバイっしょ!」 口々にそんなことを言いながら、ニタニタとした笑いを貼り付けて近づいてくる。 いくら猫の中では大きいとはいえ、相手は人間で人数も多い。 点心と爛漫と雪希の威嚇と唸り声にもお構いなしに、大学生たちは丸く囲い込むように近づいてくる。 手にはどこからか拾ってきた、棒切れを持っている者もいる。 あんな物で、思い切り殴られたら…… こんな状況とは言え、噛み付いて怪我をさせても、動物側がまずいことになりかねない。 逃げることも、攻撃することも出来ない。
/14ページ

最初のコメントを投稿しよう!

11人が本棚に入れています
本棚に追加