まさか

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   日曜日の朝、さくらを海浜公園に誘った。   さくらにこの場所でプロポーズされたのは一ヶ月前の出来事だった。  キラキラとした朝日に反射した海が眩しかった。穏やかな風が潮の香りを運んで来る。僕は躊躇うさくらの手を取って浜辺を歩いた。波打ち際まで行って、腐ったみかんが埋まっていたのはこの辺りだったと言うと、まだ根に持ってるのと、さくらが笑った。 「僕は根深い男だから。だからここにいるのかもしれない。ごめんな」 「なんで謝るの?」 「彼、いい奴だな」 「結婚認めてくれるの?」 「もちろん」 「ありがとう」 「胸を張って会えるよ。お母さんに」    さくらがハッとした顔で僕を見た。 「何言ってるの一郎」 「お父さんだろ」 「一郎は一郎だよ」 「小さな手だったのにな」      つないださくらの手をしげしげと眺めた。
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