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「俺様を誰だと思ってやがる? この澤 勇真に相談もできねえのか?」
冗談めかした口調に、幸はようやく薄く笑った。
そうそう、こうでなきゃ。
こいつは、八柳はいつも笑ってなきゃいけないキャラだ。
しかし幸は、すぐに真顔に戻ってしまった。
それでも良かった点は、勇真におずおずと話しかけて来たことだ。
「澤くんに、甘えてもいいのかな。相談に乗ってもらっても、いいのかな」
「任せろ、どんと来い」
じゃあ、昼休みに音楽準備室で、と幸は言い残し、あとはまた机に伏せてしまった。
陰々滅々とした気分は相変わらずのようだが、勇真に悩みを話せるという風穴があいたはずだ。
(まずは、これで良しとするか)
窓際へ歩く、勇真。
そんな彼を、幸は腕の隙間から見送っていた。
その姿は、ひどく頼もしく見えた。
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