幸福を呼ぶ不幸の手紙【差分】

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 昼休み、約束通り幸は音楽準備室へ現れた。 「よぅ!」 「澤くん、もう来てたの!?」  遅れてごめん、と謝る幸に手招きし、勇真は隣に座るよう促した。 「楽器に座ったりして、怒られないかな」 「ケースに入ってるから、いいんじゃね?」  大きなテューバに腰かけ、幸は改まった態度で勇真に向き合った。 「澤くん、本当にありがとう」 「大げさだな。まだ悩みも聞いてないのに」  それはもういいんだ、と幸は真っ直ぐな眼差しだ。 「澤くんのおかげで、身に降りかかる不幸を受け入れる覚悟ができたよ」 「身に降りかかる不幸?」
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