満月

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満月

満月の夜。 今夜も叶子と風太はここで会う。達成感に包まれながら。 叶子のクラスの文化祭の劇は大成功に終わった。来た人を感動させ、風太も自然と涙を流した。それほど良い劇だった。 「文化祭の劇、とっても良かったよ。泣いちゃった。」 「嬉しい。風太にそうやって言われると。自分でも納得の出来だった。クラスの皆も。皆で良い劇に出来て本当に良かった。」 叶子の嬉しそうな顔を見て風太も喜んだ。 それから叶子は劇の前の緊張や舞台裏での話、賞を取ったときのクラスメートの反応などいつものように風太に話した。風太も仲間の話が聞けて楽しかった。 ボーーーー ボボーーーー 今日も汽笛は鳴る。頭上の満月はこれ以上にない美しさを見せていた。月の光で星は見えなかった。 叶子が言う。 「今日まで本当にありがとう。じゃあね。」 「こちらこそ、ありがとう。うん、じゃあね。」 「…。」 「…。」 「あの…、待って。叶子。その、これからも僕と帰ってくれませんか?」 振り返った叶子は風太の手を取りながら言う。 「もちろん。また明日ね。」 「うん、また明日。」 満月はいつまでも島を明るく照らしていた。
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