新月

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新月

新月。 星空が最も輝く日。ぼーっと空を見上げていた。 「やっと終わったな。」 寂しそうにそう呟いた。 船は今日も本土から離島へと帰る人を運ぶ。 夏の間準備してきた文化祭の劇は予想以上の大成功を生んだ。隣のクラスの友達も興奮した様子で褒めてくれていたし、クラスの皆もその出来に満足し、成功の喜びを分かちあった。 だが、いやだからこそ、これまでのように仲間と劇を作る日々が過ぎ去ったことが寂しく感じられるのだ。教室に行けば皆はいるが、文化祭前までの落ち着いた日常に戻るのだろう。わっと周りから絆が消えた気がした。 そんな事を思いながら甲板での15分を過ごした。
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