クラスメイトは離婚するっていうんだ

1/4
17人が本棚に入れています
本棚に追加
/18ページ

クラスメイトは離婚するっていうんだ

始まりは・・あの日だろうか。 夕方友達の拓也(たくや)の所から帰ると、 いつもは夕食の匂いが流れてくる明るい窓が 真っ暗だった。 珍しくかあさんが出かけているのかな?と家に入ると 薄暗い食卓で、かあさんが(うつむ)いて座っていた。 明かりをつけると、テーブルには朝学校に出かけた時のまま 朝食が並べられている。 「かあさん・・?どうしたの?」 かあさんは顔をあげて、僕を知らない人を見るような目で見つめた。 僕はその時ぞっと背中が寒くなったんだ。 「颯太(そうた)・・?」 かあさんが、かすれた声で僕の名を呼んだ。 「具合でも悪いの?とうさんに電話しようか?」 僕が言うと、かあさんが口の中で繰り返した。 「とうさん・・呼ぶ・・?」 そしてはっとしたように、僕の事を見つめ直した。 「ああ、ごめんね。ぼんやりしていたね。 うとうとしちゃったみたい。 直ぐご飯にしようね?」 ぼんやり・・?朝からずっと・・? とうさんが帰ってきたら、話そう・・と僕は思ったんだ。 でもその日からとうさんは帰ってこなくなった。 母さんに聞いても、お仕事で戻れないのよ、と繰り返すだけだ。
/18ページ

最初のコメントを投稿しよう!