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クラスメイトは離婚するっていうんだ
始まりは・・あの日だろうか。
夕方友達の拓也の所から帰ると、
いつもは夕食の匂いが流れてくる明るい窓が
真っ暗だった。
珍しくかあさんが出かけているのかな?と家に入ると
薄暗い食卓で、かあさんが俯いて座っていた。
明かりをつけると、テーブルには朝学校に出かけた時のまま
朝食が並べられている。
「かあさん・・?どうしたの?」
かあさんは顔をあげて、僕を知らない人を見るような目で見つめた。
僕はその時ぞっと背中が寒くなったんだ。
「颯太・・?」
かあさんが、かすれた声で僕の名を呼んだ。
「具合でも悪いの?とうさんに電話しようか?」
僕が言うと、かあさんが口の中で繰り返した。
「とうさん・・呼ぶ・・?」
そしてはっとしたように、僕の事を見つめ直した。
「ああ、ごめんね。ぼんやりしていたね。
うとうとしちゃったみたい。
直ぐご飯にしようね?」
ぼんやり・・?朝からずっと・・?
とうさんが帰ってきたら、話そう・・と僕は思ったんだ。
でもその日からとうさんは帰ってこなくなった。
母さんに聞いても、お仕事で戻れないのよ、と繰り返すだけだ。
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