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注目と緊張でくたくただった一日は
ようやく下校時間となった。
これから四十分かけて帰るのかと思うと
靴を履き替えながらまたため息が出た。
門を出ようとすると、風花が走ってきた。
「加藤くん!山向こうのお家なのでしょう?」
僕がばあちゃんの地番を言うと、風花は遠いよね、と呟いた。
「私は反対側なの。気をつけてね?また明日ね!ばいばい!」
僕はまた、というと手を振った。
風花はにこにこしながら、振り返り振り返り見えなくなった。
優しい子だな・・。僕はほっとして微笑むと、これから進む長い道に向き直った。
と・・目の前直ぐに、大樹の不機嫌な顔があった。
僕はびっくりして飛びのく。
「おい。風花が優しいからって、いい気になるなよ!」
「いい気になんて・・。」
「東京もんがかっこつけんなよっ!」
ふんっ!と鼻息荒く、大樹は風花と同じ方向へと帰っていった。
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