4人が本棚に入れています
本棚に追加
いつかまたね
まだまだじんわりと暑い九月。まだ幼い勇太の楽しみは夏にお父さんと一緒に捕まえたカブトムシのサスケを眺めること。
「カッコいいなぁ」
クワガタもカッコいいけど、やっぱりカブトムシ。勇太はそう思いながら、にししと笑う。
幼稚園から帰った途端にサスケの入ったかごにべったりと張り付き、朝起きたら真っ先におはようと声をかけるのはサスケ。
お父さんもお母さんも呆れてしまうほどにサスケが大好きだったが、その日は突然にやってきた。
勇太が朝起きて、サスケのかごにくっついて、おはようと声をかけり。
「あれ?」
勇太の声にお父さんは、サスケのかごを覗く。サスケはひっくり返って動かない。
「お父さん、サスケどうしたの?」
お父さんは言うかどうか悩んだが、勇太にはっきりと教えることを決めた。
「サスケは天国に行ったんだ……」
勇太はじっとひっくり返って動かないサスケを見つめる。
「……そうなんだ」
最初のコメントを投稿しよう!