04.ラギ

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何故、ラギになったのか? 彼女に、自分の名前を使って、日本語を教えた時のこと。 「僕は、冬木裕一郎です。フユキ・ユウイチロウ。winter&woodね」 「Wow, winterスキデス」 「Why?」 「ワタシ、サムイスキ。ベトナム、アツイ。 I want to touch the snow」 僕は横浜に住んでいるが、学生時代は仙台で過ごした。 東北では比較的積雪が少ないが、それでも雪に触れる機会は多かった。 横浜でさえ、3年に1度くらいは雪が積もる。 でも、彼女は、本物の雪に触れたことがないのだ。 「ワタシ、トーキョーイッタラ、ユキサワリタイ」 東京じゃあ触れないよ、と想ったが、一々訳すのも馬鹿げている。 「Yes」 「フユキ? フユ? ユキ? ドッチ?」 彼女が見様見真似で描いた漢字は、冬木ではなく、木冬だった。 柊と読めないこともない。 「No,柊 is ヒイラギ」 「He Ragi? カレ……アナタハ、ラギデスカ?」 そんな経緯があって、僕の呼び名はラギ君で定着した。 だから、『12人の月魔女』の如月は、彼女の誕生月であり、僕の呼び名でもあるのだ。 如月のヴィジュアルイメージは、神秘性を重視して、銀髪にしたが、顔そのものは彼女をモデリングした。 そうだ、僕と彼女以外から『ラギ』って呼ばれるのが嫌いという性格付けにしておこう。
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