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何故、ラギになったのか?
彼女に、自分の名前を使って、日本語を教えた時のこと。
「僕は、冬木裕一郎です。フユキ・ユウイチロウ。winter&woodね」
「Wow, winterスキデス」
「Why?」
「ワタシ、サムイスキ。ベトナム、アツイ。
I want to touch the snow」
僕は横浜に住んでいるが、学生時代は仙台で過ごした。
東北では比較的積雪が少ないが、それでも雪に触れる機会は多かった。
横浜でさえ、3年に1度くらいは雪が積もる。
でも、彼女は、本物の雪に触れたことがないのだ。
「ワタシ、トーキョーイッタラ、ユキサワリタイ」
東京じゃあ触れないよ、と想ったが、一々訳すのも馬鹿げている。
「Yes」
「フユキ? フユ? ユキ? ドッチ?」
彼女が見様見真似で描いた漢字は、冬木ではなく、木冬だった。
柊と読めないこともない。
「No,柊 is ヒイラギ」
「He Ragi? カレ……アナタハ、ラギデスカ?」
そんな経緯があって、僕の呼び名はラギ君で定着した。
だから、『12人の月魔女』の如月は、彼女の誕生月であり、僕の呼び名でもあるのだ。
如月のヴィジュアルイメージは、神秘性を重視して、銀髪にしたが、顔そのものは彼女をモデリングした。
そうだ、僕と彼女以外から『ラギ』って呼ばれるのが嫌いという性格付けにしておこう。
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