44人が本棚に入れています
本棚に追加
「hello, ナニヲシテ マシタカ?」
「君のことを考えていたよ」
「ナニー? ニホンゴ、ワカリマセン」
「I was thinking about you」
「Wow, Baka~」
画面に映る君は、照れながら大笑いしている。
そして、お気に入りの『Baka~』というフレーズを僕に浴びせかける。
スマホに映し出されたのは、見覚えのある屋台だった。
赤いプラスチックのテーブルと椅子が広い歩道に並んでいる。
揚げ物やシーフード料理の小皿、ドリンク。
バケツに入った備長炭のような大きな氷。
いつだったか、バイクで連れて行ってもらった屋台だ。
確かロン橋の近く、ナイトマーケットの奥だったと記憶している。
教えてもらった食べ物の名前はすっかり忘れてしまったけど。
でも、それはいつも夜空に浮かぶ月のように、あの街に君が居るからという安心感の裏返し。
だって、いつでも君が連れて行ってくれるし、いつでも君が教えてくれるんだろう?
画面越しに、屋台の喧騒と熱気が伝わってくる。
日本は23時でも、ダナンはまだ21時なのだ。
最初のコメントを投稿しよう!