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その日、彼女は僕の席にオーダーしたドリンクと軽食を運んできたのだ。
番号が描かれた小さな旗を目印に。
確か果実が丸ごと入った、ピーチティーだったはずだ。
ベトナムはコーヒーが有名だが、僕には甘すぎる。
元々、コーヒーよりも紅茶派だ。
ただのフレーバーティーやジャム入りではなく、果実が丸ごと入っているのがベトナム流だ。
彼女は僕のテーブルに注文品を並べてくれた。
つい僕は、ここが異国であることを忘れ、
「ありがとう」
と日本語でお礼を述べてしまった。
「ドーイターシマシテ」
カタコトの返事が返って来てハッと気づいた。
「ニホンノカタデスカ?」
「イ、yes. I'm Japanese.」
このおかしな会話が、2人の初めての会話だった。
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