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「……どうすんだよこれ」
気が付くと、ピンポン玉サイズのひよこのマスコットを獲得してしまっていた。
だから俺にこんな趣味はないし、そもそも基本身の周りに物を置かない。だったらなぜクレーンゲームをやった、と誰かが聞いたら突っ込みたくなるだろうが。
「……頭冷やすか」
これ以上ここにいたら本当にファンシーな趣味に走ってしまいそうで、俺は足早にゲーセンから出た。
急に冷たい空気に晒され、中との気温差に震える。
とはいえ他に行くあてもない。適当に知っている道を散歩しようにも、うっかり母さんの買い物中に鉢合わせでもしたら面倒なことになる。
「俺が今いるのは、南口か……」
駅の横には南口と北口を繋ぐ地下道があり、改札をくぐらず通り抜けができるようになっている。
地下道の入り口を見る。北口の方面にはあまり足を運ぶ機会が無かったが――
「迷うってことはねえだろ」
俺はひよこをブレザーのポケットに入れ、一歩踏み出した。
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