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翌日から、少女は早速、仲間探しを始めた。
昨夜、何度も同室の初那に確かめてみたが、彼女の手のひらに刻印は現れなかった。
麒麟の課題はあくまでも葉羽一人に課せられたものであり、通常は仲間とともに修業を行うことが日課となった。
「おはよう、仁胡!」
講堂に行くとすでに仁胡が準備をしており、少女は爽やかな笑顔で彼に近づいた。
「おはよう・・・」
彼は挨拶するだけなのに恥ずかしそうに俯いた。
葉羽は彼の前に座り込み、じっとその目を見つめる。
「ねぇ、仁胡。もう一回手を貸してくれる?」
「え?ヤダよ・・・」
仁胡は顔を真っ赤にし、それを拒否した。
「お願い!ちょっとだけでいいから・・・ね?」
少女が両手を合わせお願いすると、彼は渋々、手を差し出した。
そして麒麟に教わった通り、両手で彼の細い手を優しく包み込む。
目を閉じ静かに念じると、彼の手のひらには一つの刻印が見えた。
「しずく?雫だよね!」
葉羽はその文様を確認すると嬉しくなり仁胡に聞いた。しかし、彼はそれが見えないようで不思議そうに首をかしげていた。
「おっはよー!あれー?いつの間に仲良くなったの?!」
すると突然講堂に壱悟が登場した。仁胡は即座に手を隠すと、気まずそうに俯いた。
「あ、壱悟、おはようございます!」
葉羽も突然の彼の登場に驚き、愛想笑いでごまかした。
しかし頭の中は、なぜ刻印が自分にしか見えなかったのだろうとそればかりが気になった・・・。
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