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その日、初那は別件で修業に参加しなかった。
3人はその日の大半を瞑想して過ごし、力を集中させる訓練をしていた。
「はぁぁぁ、疲れたぁ!」
修業が終わると、壱悟は講堂で大の字になって休憩する。
仁胡は朝のことが気まずいようで、終わると同時にイソイソと部屋に戻った。
それをみると少女の中になんとなく罪悪感がよぎる・・・
しかしこうやって一人一人確認しないことには前には進めない。
少女は気持ちを奮い立たせ、次に進もうと思った・・・。
すると、ちょうどいいと言わんばかりに、近くでくつろぎ、無防備に放り出された壱悟の手のひらが気になり始めた・・・
何も気づかない壱悟は目を閉じたまま、深い呼吸をしている・・・。
どうやら眠っているようだった。
葉羽はそっと彼の手を握ってみた。
そして念を込めると、そこにはぐるりと円を描いたような、風車らしき刻印が見えた。
(やった、二人目発見!!)
少女はふいに喜びで顔がほころんだ。
「え?葉羽って俺のこと好きなの?」
ハッとし顔を挙げると、壱悟と目が合いドキッとする。
「あ、あのね、、、、壱悟くんの手が、私の大好きな人の手に似てたから、つい触ってしまった・・・失礼だったよね、、、、ごめんなさい・・・」
葉羽は咄嗟に思い付いた嘘でごまかす。
すると真剣な顔つきの壱悟が、ゆっくり起き上がり近づいてきた。
少女はこの状況にどうすることもできずに、そのまま後ろに尻もちをついた。
「葉羽、、、寂しいの? 俺が抱きしめてやろうか?」
この急な展開に驚き、ゆっくり首を横に振るが、真剣なまなざしの彼に負けそうになった・・・。
(神様―――――助けてください!!)
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