2話 課題 × 動き出した少女 × 見つけ出す刻印

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 シュルルルル―― ズコ―――ん!! するとどこからともなく、横笛が飛んできて、壱悟の頭を直撃した。 「いってぇ!!!!」 彼はぶつけられた頭を抱えて、床を転げまわった。 「まったく、そんなことばかり考えてるから、いつまでも力が濁ってるんだよ!」 助けてくれたのは、昨日少しだけ挨拶した九雀だった。 「いや、誤解ですって!! 瞑想は真面目にしたわけで、たまたま葉羽が寂しそうな顔してたから力になってあげたいなと・・・」 「ふーん、はたから見れば、おびえる兎をオオカミが狙ってるようにしか見えなかったけどね・・・ あぁーあ、大事な大事な横笛さん。痛かったですね」 「いやいや、痛いのは俺の方ですって!」 九雀は横笛を拾い、大事そうに懐にしまうと、さりげなく少女を立ち上がらせ、講堂を出た。 「大丈夫?ケガはない?」 講堂を離れると、九雀は優しく少女に声をかけた。 「あ、はい!ご迷惑をおかけしてすみません・・・」 「はい、どーぞ!」 九雀は、少女心を読んでいるかのように、自分の手を差し出した。 「え?」 「いや、なんとなく、握手をしたそうだったから・・・」 葉羽は今さらながら、先ほどの一件で反省し、簡単に触れていいものなのか戸惑った。 すると九雀は自分から彼女の手をとり、無理やり握手をした。 「僕はいいんだけどね。やはり、男に触れるときは注意しなきゃダメだよ!」 そのもっともな指摘が胸にグサリと刺さった。 「じゃあ、またねー」 そして、九雀はわざとらしく手を振りながら去っていった。 その手のひらには、鳥の刻印が記されていた・・・。 「3人目・・・いた」 葉羽は力が抜けて、しばらくその場に座り込んでしまった。
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