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その怪しい気配を、遠く離れた地で一番に感じ取っていた男がいた。
「なぁ、左京、なんとなく嫌な予感がするけど、気のせいかなぁ・・・」
「はい、気のせいです」
「は?側近ならもう少しさぁ、主人の気持ちに寄り添うことくらいできないの?」
紗倉は不機嫌そうに不満を言う。
「寄り添う、、、、ですか?」
「あ、いや、いい・・・。君に求めた僕がどうかしてた・・・」
紗倉が大きなため息をつきながら宮殿内を移動していると、ちょうど緋色と遭遇する。
「あ、緋色。葉羽はどうだった?麒麟のところで上手くやれそう?」
「それはもう、ばっちり!
麒麟姉様は会ってすぐに彼女をからかって遊んでましたから・・・」
「・・・・」
「ゴホン、これは要らぬ情報でしたか・・・?」
「まぁとりあえず、出だしから彼女が落ち込んでいないのなら安心したよ。
なんとなく胸騒ぎがしてたからさ、、、
変な野郎にいきなり手を出されてたら気が気じゃないからね。
まぁその点では、麒麟の傍なら安心か・・・」
「まぁ、私も念のため、寺の修行僧は確認してまいりましたが、目をギラつかせて盛ってるような奴は見受けませんでしたよ・・・」
「盛ってる・・・?」
何故かその言葉に左京が反応する。
「だがしかし、、、私も何となく同じように、嫌な予感がするというか・・・」
緋色は、紗倉とはまた別の直感が働く・・・。
「なら、もう一回確認してきてよ」
「嫌ですよ・・・
あ、そういえば、葉羽ちゃんのピアス、問題ありませんでした?」
「あぁ、問題ないどころか、かなり一流の力を持ってる人に頼んでくれたんだね」
「まぁ、私の古い知り合いに頼んだんですが、そんなに褒めて頂くと彼も喜びます」
「いやぁ、本当に凄いよ・・・。
僕が仕掛けていた色々な力を、見事にリセットしてくれてるもんだから、焦ったが・・・」
「はい??」
「いや、こっちの話・・・また何かあれば頼むよ」
そういうと、紗倉は軽く手をあげ、宮殿の奥の方へと入っていった。
「・・・・嫌な予感、、、
いやいや、、、そう簡単にはバレないはず・・・」
緋色の予感は、彼の知らないところで、その後あっさりと暴かれるのだった・・・。
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