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1話 神聖な場所 × 修業に出た少女 × 新しく繋がる仲間
葉羽は、ソレイユの皆に温かく見守られながら出発した・・・。
その道のりは思ったより遠く、紗倉の言う通りすぐには帰れない距離なのだと、溢れ出しそうな寂しさをぐっとこらえる。
紗倉の友人、麒麟が住む街までは、緋色が付き添い、案内してくれた。
そこは新緑豊かな山の麓に栄える小さな町で、その中心には大きな滝が流れていた・・・。
「わぁ、ここには物凄いエネルギーがみなぎっている。
一歩一歩足を進めるたびに、心が洗い流されていくようだわ・・・。」
葉羽はその町のエネルギーの高さに驚き、大きく深呼吸をして気持ちを落ち着かせる。
「きっとあの滝だね、あそこから異常なほどにパワーが溢れだしている・・・」
2人はその滝の凄まじさに圧巻され、立ち尽くす・・・。
ツンツン・・・
少女は誰かに指を突かれた気がして振り向くと、そこには同じ年くらいの女の子が首をかしげて立っていた。
「もしかして、貴女が葉羽さん?」
突然その娘に名前を呼ばれ、葉羽は驚く。
「はい、そうですが、貴女は?」
その娘はにっこりと笑顔を見せると、ペコリと深くお辞儀をした。
「私は、麒麟様のもとで見習い修業をしている、初那と申します。
はるばる遠いところをご苦労様でした。
私が麒麟様の御寺までご案内いたします・・・」
そんな丁重な挨拶をされるとなんだか恥ずかしく、葉羽も同じように深いお辞儀を返した。
「私はソレイユより参りました葉羽と申します。
不束者ですが、一緒に修業させて下さい!」
初那は、来客者は相当身分が高い人だと聞いていただけに、その腰の低さに驚いた。そして二人でゆっくり顔をあげ、お互いに目を合わせると思わず笑ってしまった。
「あははは、面白い方ね。
私はてっきり高飛車な女性が来るんだと思って、これでも朝から緊張してたのに!」
「ごめんなさい、そんな器じゃなくて・・・。
あなたは初那さんって仰るのね。何歳?」
「私は未熟者の17です」
「そうなんだ、私も未熟者の17歳。同じだね」
「そうなの?!
あの寺はね、男ばっかりで正直、嫌気がさしてたのよ。
葉羽ちゃんと一緒に修業できるなんて、すっごくすっごく嬉しい!!」
ゴツン!!
その時、体格のいい男がしかめた顔で彼女の頭に軽くゲンコツを当てる。
「おい、初那!馴れ馴れしくするなってあれほど言っただろうが!
まったく油断も隙もありゃしない・・・」
「いったぁ――――い!女の子に手を挙げるなんて、サイテー!
麒麟様にチクってやるう!」
初那は頬を膨らまし、その男を睨みつける。
「初めまして、葉羽様。
私は麒麟様の側近をしております、太賀と申します。
まだ修業見習いなゆえ、この娘の軽率な態度、何卒お許しください・・・」
太賀は深々と頭を下げた。
「いえいえ、とんでもないです!
私はここに来るまですごく緊張していました。
これからどんな人と出会い、こんなことが起こるのか・・・
だけど、彼女の可愛い笑顔が、その緊張も一気に吹き飛ばしてくれたんです。
どうか責めたりなさらないでください」
葉羽は太賀の顔が誰かによく似ていると感じるが、その顔を思い出せない。
「失礼でないのなら安心しました。
では、麒麟様がお待ちですので早速ご案内いたします・・・」
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