1話 神聖な場所 × 修業に出た少女 × 新しく繋がる仲間

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 それならばこれだけは確認しておかねばと、少女は意を決する行動に出た。 「麒麟様、失礼だとは重々承知の上で、ひとつだけ、確認してもいいですか・・・?」 葉羽はギュッと目をつぶり、首をかしげる麒麟の胸に両手を押しあてる。 「ひやぁぁぁ!!何?何???」 それに驚いたのは、緋色の方だった。 「あれ?柔らかい胸がある・・・。」 葉羽はその姿勢のまま固まり、ゆっくり彼女の顔を確認した。 「あははは、私は女よ!心配しないで!」 「はぁぁぁ、よかったぁ。 紗倉からは女性だと聞いてたのに、この衣装はどちらとも取れますから・・・ 確認しておかないと、また緋色さんの時みたいに立ち直れなくなると思って・・・ 本当に失礼なことをしてごめんなさい・・・。」 「ははん、緋色。彼女に何かしましたね? 悪戯まで私の真似をしなくともよいのに」 緋色は師匠の手前、気まずそうな顔をする。 「葉羽、私はどんな時も貴女の味方よ。 貴女を導き、支え、そして鍛えていきます。 どんなことがあろうとも、私を信じてついてきなさい」 葉羽は女神様にでも触れているかのように、彼女と接して安らかで清らかな優しい感情に満たされた・・・。  それから少女は太賀に連れられ、寺院内を一通り案内してもらうと、最後に広い講堂へたどり着いた。 「葉羽様、ここには今現在、6名の弟子がおります。あなたはその7人目。 貴女より年上の3名は修業がひと段落し、寺の中でそれぞれ好きなことをされています。そのうちお目にかかることもあるでしょう。 同年の3名は現在厳しい修業中であり、これから顔会わせることも多いと思いますので、紹介しておきましょう・・・」 その講堂には2人の男と先ほど会った初那が並んで座っていた。 「一人は先ほどご挨拶した初那です。 そして、あちらの背の低いのが、壱悟(いちご)。隣のひょろ長いのが、仁胡(にこ)」 「そんなに細くないけど・・・」 「へへへ、こいつね、ニコって名前なのに、全然ニコニコしてねぇの!」 太賀の紹介で、壱悟は無邪気な明るい笑顔を見せてくれた。 「私は、ちょっと遠いところから来ました、葉羽です。 よろしくお願いします!」 二人を前に律義にも深々と礼をすると、壱悟はフラリと近づき軽く肩を叩いた。 「俺たちタメなんだろ?敬語もなし、名前も呼び捨て!」 修業は相当厳しいんだし、気楽に仲良く行こうぜ!」 そのフランクな話し方に少女はやっと肩の力が抜けた気がした。 それと同時に、なんか聞き覚えのあるそのセリフを思い出すと、ふと大輝の顔がよぎる。 「あ、あ――――!!!」 急に声をあげた少女に、何事かと皆が目を丸くする。 そう、大輝を思い出した瞬間、隣に立っていた太賀が、体格は違うものの彼とそっくりなのだと気づいたのだ。 「太賀さん、もしかしてソレイユにいる大輝君と親戚ではないですか?!」 「ゴホン! さて、壱悟、仁胡、今日の修業が終わったのなら、彼女をこの周辺の散策にでも連れて行ってあげなさい。せっかくだから初那も一緒に・・・」 太賀は、突然浴びせられた質問に無理な咳ばらいをしてごまかし、話を逸らした・・・。
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