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4人はどこ行こうともなく、周辺をフラフラする・・・。
「急に散策と言われてもな」
「まぁ、まぁ仁胡ちゃん。そんなイライラしないで」
急に修業が中断された気がした仁胡は不機嫌だった。それを初那がなだめる。
壱悟は興味津々で、彼女について食いつき気味に聞きだした。
「なぁ、葉羽。さっき言ってた大輝って誰?」
「大輝くんはね、私たちと同じ歳で、護衛隊のエースなの。
すっごく強くって、でも明るくて無邪気で、一緒にいるといつも元気をもらう大切な親友なの」
「へぇ親友かぁ、いいなぁ。しかも大輝って名前がかっちょいいな!
俺たちなんて、イチゴとニコだぜ!
女みたいな名前じゃない?」
「確かに、響きだけ聞くとイチゴって珍しくてびっくりしちゃった!
でも、うちの護衛隊にはね、ライチがいたよ!」
「おぉ!!!フルーツ仲間じゃん!すげぇ!!」
「雷地くんもね、年下なのにすっごく強いんだよ!しかも超人気者!」
初対面にもかからわず、同じ歳で集まったその場は意外にも盛り上がる。
「ねぇ、葉羽!
ちょっと小耳に挟んだんだけど、婚約者がいるってホント?」
次は初那が自分の番だとばかりに、割って入る。
葉羽は急に顔を赤らめ、小さく頷いた。
「うそー、いいないいなぁ。どんな人?」
「いつもからかわれてばっかりなんだけどね、、、
すごく優しくて綺麗で、センスもあって笛も引けて、、、、本当に素敵な人・・・」
「うわぁ!王子様みたい!!いいなぁ・・・」
「初那には、俺がいるじゃん!!」
ふいに呟いた壱悟の言葉は耳に入らず、初那は目をキラキラ輝かせながら、乙女のように妄想の世界を想い描いていた・・・。
「あれ?ガキばっかりふけって、何してんの?」
その時、急に声をかけたのは、日に焼けた風の色黒の男性だった。
「あぁ!!広呂さん!!お疲れっす!!」
「あれあれ?見たことないお嬢ちゃんが一人・・・どこで口説いてきたの?」
広呂は腰を曲げ、少女に顔を近づけると、まじまじと見つめた。
「ふふーん、超かわいいでしょ?」
壱悟が自慢げな表情で紹介する。
そして仁胡は広呂の目の前に立つと、少女を見せないように隠した。
「終わり!」
「はぁ?なんだそれ?? 減るもんじゃないし・・・」
「減る!」
「はぁ?なんだそれ!
へぇ、仁胡、もしかして・・・」
広呂は何かを察したかのように片方の口角をあげニヤリと笑った。
「違うし!彼女には婚約者がいるから・・・」
少しの愛想笑いもしない仁胡の頬を、広呂は両手で引っ張る。
「おい、仁胡!綺麗な顔してるのに、もう少しかわいい顔、できないのか?
麒麟さんが言ってただろ?心が穏やかでないと、きれいな力は生れないって」
仁胡は顔を引っ張られても、ピクリとも笑わない。
「ふん、困ったやつだ。ねぇ、葉羽ちゃん!!」
仁胡の後ろで油断していた葉羽は、急に横から飛び出してきた広呂の顔に驚いた。
「え?どうして私の名前を?!」
「そりゃ、そんな娘が来るとは聞いてたからさ。俺は広呂。宜しくね!」
広呂は八重歯がきらりと光る爽やかな笑顔を見せると、軽くウインクをした。
するとその下から、もう一つ見たことがない顔が飛び出した。
「僕は九雀。はじめまして」
「ひゃっ!!」
葉羽はまたもびっくりして思わず、後ろに仰け反った。
「おい、九雀!お前いつからそこにいた?」
九雀といわれる男性は、背は小さめであったが、まるで紗倉が小さくなったかのように、髪形も着ている服もそっくりだった。
「え?紗倉、、、のはずないですよね?」
「ん?紗倉??って誰?」
思わず口走った名前に、皆がキョトンとしていた。
「あ、ごめんなさい・・・
ここには私の国にいる方とそっくりな人が多くて、びっくりです!
先ほどの太賀さんもそうですが、九雀さんも私の大切な人にそっくりで・・・」
「まぁ、世界には自分に似た人が2人、3人いるっていうしね。
ねぇねぇ、じゃあ、こいつみたいにいつも不愛想で笑わない奴とかもいるの?」
「えっ、、、と・・・」
「うるさい!!!」
笑われた仁胡はまたイライラを顔に出す。
広呂はそんな彼の肩にポンと手を当てた。
「まぁ、そんなカリカリすんなって。人生朗らかにいこうぜ!
今日はイライラが緩和する特性ミルク料理を作ってやるからさ」
そういうと、広呂と九雀は仲良さそうに反対側へ向かって歩き出した。
そしてだいぶ先の方で、分厚い本を手にした背の高い男性と合流する。
それを遠目で確認した初那が急に騒ぎ出した。
「ごめん、葉羽ちゃん!!私ね、ちょっと急用を思い出した!」
顔を真っ赤に赤らめた初那は、そのまま3人のほうへと走っていく。
「おい、初那———!!ちょっと待てよ!!」
そのあとを、壱悟が軽快に追っていく。
残された葉羽と仁胡はその場にポツンと立ち尽くした・・・。
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