逆襲

3/3
前へ
/13ページ
次へ
反撃の機会は思いのほか早くやってきた。普段は散々いじられてぐったりするのに、今日に限って余裕があった。ぐったりとした振りをして横になり講師の動きを眺めた。 落ちついたら自分の処理は自分でする。べたつく潤滑剤やゴム器具によって出された疑似の液体をこぼさないようティッシュで押さえ拭きとる。そして浴室で洗い流す。 浴室に向かう振りをする。浴室の鏡ごしに映る講師を観察していると自分に背を向けてごそごそと何かをしているようだ。 シャワーの栓を開け水音を響かせた。 忍び足で講師の背後に周るとズボンの中身を出してこすり立てていた。 背後からその手をつかみ、にゅるっと濡れたモノを指で強く握った。 講師は固まって動けない。僕は真正面に回り自分が散々され不本意ながら身につけさせられた手練手管をフルに活用してみた。 口を開けてこわばりを含んでみた。初めて含んだモノは硬くて熱くしょっぱい。口いっぱい使うので呼吸が苦しかった。 口いっぱい含んで目線をむける。頭の中に僕最大級のいやらしいイメージをぶつけて挑発してみる。これもここで学んだことだ。 濡れた目で僕を見下ろす講師。身体は汗ばみ顔は赤らんでいる。何かをふっきったのか、彼は僕を抱き上げベッドに運ぶと唇に吸い付いてきた。 分厚い唇がベチャぺちゃと音を立てて口や喉元を這い回る。ぷくりと立ち上がった乳首を唇ではまれ、舌先でなめ回される。今日既に1度経験済みの粘膜の感覚はさらに鋭くなっている。 前回との違いはゆっくり時間をかけて行われていたことが今はやけに性急なこと。胸を吸われながら潤滑剤をのせた指でぐりぐりと中を攻められる。 講師を見るとやけに切迫している。目が合うと更に激しく口を吸われた。 僕の口からは呼吸の合間に「うっ、くっ」しか声が出せない。 中をいじられながら、潤滑剤でぬめる手で僕の前もしごかれる。講師に体勢を変えられた。講師は彼の硬く立ちがるモノと僕のモノを併せて扱きだした。 近接する身体。顔や身体にかかる熱い吐息。熱い相手の存在に先走りと潤滑剤でぐちゃぐちゃと粘つく水音。 身体が熱くなる。 一瞬の強めの刺激に僕の体内から急激に熱がせり上がる。相手の手から吹きあがる僕の体液。イっているのに手の動きは止まらない。キツくてもう何もいえない。 僕を開放してしばらくしてから腹の上に飛び散る講師の白濁。僕の腹の上でビクビク揺れながら残滓が吐き出されていく。 はあはあと今まで片側だけの荒い呼吸だったのが、今は二人だ。 ぬるぬるでべたべたの腹。ぐしゃぐしゃのシーツ。思いっきり痕跡が残っている。こんなことは初めてだ。 「……これってさ、いけないんじゃないの?」 僕は髪をかきあげながら、無知を装い状況を言い立てる。講師は無表情に見える表情のまま、困惑しているように見えた。 その日は無言で二人で身体を洗い部屋を後にした。僕は寮監や皆に何も言わなかったし、講師側からの変更の申出も講習の中断もなかった。どうやらあの行為は二人だけの秘密になったようだ。 それからの講習、僕は自分が優位にたったことを知る。講師は僕と二人きりになると宝物を扱うようにキスをしてくる。僕に好意を抱いているようだ。 僕が嫌がるキツいことはしないし、僕のことをひたすら舐めまくる。最後はいつも性器を併せてこすりあわせる。 それでおしまい。僕は気持ちがいいだけで、特段講師に対して思うことはなかった。 もうじき僕らはここを出ていくのだ。 最後の講習回では講師は目を潤ませていた。僕は何も思いもしなかった。いや、ちょっと面倒くさいなと、思った。
/13ページ

最初のコメントを投稿しよう!

73人が本棚に入れています
本棚に追加