第6話 タイムトリップ(ローマ帝国)

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第6話 タイムトリップ(ローマ帝国)

宇宙旅行も良かったが…… ふと、タイムトリップをしてみたいと思った。 痛快なところでは……古代ローマ帝国の皇帝にでもなって、欲望の限りを尽くしてみたら どうだろう… などと良からぬ事を考えた。 俺は財力に任せて世界を旅して… イタリア ローマの競技場跡を訪ねてみた。 古代ローマの当時は皇帝に逆らえば簡単に処刑されてしまう王制だったんだなあ……と思っていると、 何だか 時空間がギシギシと音を立てて歪んでいるのを感じた…… 次の瞬間には…よく映画で使われるような 時空のトンネルに吸い込まれて… 古代ローマ帝国の時代に来てしまった。 「御人…大丈夫ですか? そんな所で寝ていては風邪を引いてしまいますわよ……。」 そう言われて気が付いたのは、王宮の中だったし…… 助け起こしてくれたのは絶世の美女かと思わせるような…お姫様だった。 「俺は……いったい……?」 状況の分からない俺にお姫様は優しく話してくれる。 お姫様 「私が神様に『私に相応しい婿をお与えください。』と祈っていて、突然現れたのが…… あなた様なのです。 どうか私の婿となって、このローマ帝国を治めてください…。」 俺は訳が分からなかったが、『この お姫様のご機嫌を損ねると厄介だぞ。』というのは感じた。 「神様の み心の通りに成りますように……」 俺は 言葉を選んで お姫様に手を差し伸べた。 「ああ……神々しい……あなた様の名前は何と 仰るのですか…?」 お姫様が ウットリとして俺を見る…。 「はい、アバンチヌスと申します…。」 俺は適当に思い浮かんだ名を告げた。 「ああ……アバンチヌス様……私の部屋にお越しください……。」 お姫様は俺とイチャイチャしたくて堪らないらしい。 「ああ……アバンチヌス様……ステキ……もうイッちゃう!」 お姫さまは俺の前に陥落したのだった。 丁度…先の皇帝が病死した後で、スムーズに政権交代は成された。 俺はローマと近隣諸国を見て廻って、現代(未来)の土木建築技術を駆使してインフラを整備し、近代国家を作り上げた。 西洋一の美貌を持つ お姫様とはラブラブで、 諸国を廻れば…その土地の有力者が宴を催して美女を投入してくれた。 わずか一年の間にローマ帝国の名を世界に知らしめ…その版図を拡げた 。 しかし、栄光は いつか崩れるもので、腹心として共に戦ってきた男に狙われるようになった。 ある日の夜に…お姫様が、 「総務大臣のテスノスが 貴方の命を狙っています。 ここから お逃げください!」 そして俺は闇夜に一隻の船に乗って宮殿を後にした。 そして海の上で時空間が歪み始めて…… 気が付けば現代のローマに帰って来ていた。 ベンチで寝転がっている俺を…恋人のレイコが見つけてハグをして…キスの雨を降らせた。 「ミノル……丸一日何処へ行ってたの?…心配したんだから…。」 俺は全てを話そうか…とも思ったが…… ヤキモチ焼きのレイコに お姫様の事を話すのはどうかと躊躇して… 頭を打って記憶が飛んでしまったのだとウソの話をした。 「それなら仕方ないけど……浮気したらダメだからね…。」 レイコは俺の手を引いてロールスロイス ファントム リムジンの車に乗せると…… 運転席とのパーテーション(仕切り板)を曇りガラスにして…… 俺の胸に甘えて来た…。 ☆☆☆☆☆ おしまい ☆☆☆☆☆
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